実践期~最終回~

前回までの準備期で、事業試行開始となる10月1日までの準備を終えました。 ただし終えたのは、あくまで想定内の準備のみ。実際に実践を始めたら想定外の事柄が数多く生じるはずです。この点はもはや「走りながら考える」しかありません。でも、事業理念の原…

準備期~その5~((4)管理ソフトのカスタマイズ、オペレーション手順の共有)

さあ、準備期も最後になります。 ①管理ソフトのカスタマイズ すでに昨年度末に担当者と打ち合わせを終えていたので、粛々と先方が作成したカスタマイズスケジュールに沿って進めるのみでした。 再掲しますが、根本思想は「小さく産んで大きく育てる」で必ず…

準備期~その4~((3)パンフレットの作成)

さあ次は、主に利用者に事業を説明する主要な宣材であるパンフレットの作成です。 すでに昨年度末、依頼するデザイナーに対面で説明を終えています。 もともと自治体広報や、他社協広報に携わっていた方なので、事業内容大枠はこの段階で理解してもらってい…

準備期~その3~((2)各様式の作成)

前回の更新から、ずいぶんと間が空いてしまいましたね。 10月から環境変化があったので、生活リズムが整うまで、ちょっと時間を要していました。(このあたりは、最後のブログでお伝えします) さて、次は「(2)各様式の作成」です。 現段階で、想定しうる…

準備期~その2~((1)各要綱の新規作成、改正。契約書の作成)

まずは「(1)各要綱の新規作成、改正。契約書の作成」です。 ①あんしん事業要綱の新規作成 当然、新規事業を始めるために事業要綱を新設する必要がありました。 前編の「法人後見編」でも同様に、事業要綱を作りましたが、今回は非常に苦労し難産しました。…

準備期~その1~(この時期に行うべき4項目の解説)

前回までで、「あんしん」事業の検討項目が全て決まりビジネスモデルが完成しました。 時は令和3年4月、事業の試行開始が令和3年10月から。残り約6か月間が準備期であり、決まったビジネスモデルを具体的に落とし込んでいきました。 この時期に行ったことは…

構想期~その14~(17項目の制度設計3/3)

17項目の残り、⑬~⑰までをお伝えします。 長々と述べてきた「構想期」は今回でやっと終了です。 ⑬ライフプランシートの見直し 当然に利用者の要望は時間の経過とともに変わってきます。そのため、利用者の希望(葬儀、埋葬方法、ペットのこと)を記したライ…

構想期~その13~(17項目の制度設計2/3)

続けて、⑦~⑫までをお伝えします ⑦利用料、報酬、預り金 この項目は、やや上司との考え方が異なり議論となりました。すなわち、 基本理念①「できる限り、多くの方に必要な支援を行う」 と 基本理念⑥「できる限り、事業収支を黒字化させる」 が相反するため、…

構想期~その12~(17項目の制度設計1/3)

さて、これから17項目の詳細制度設計に入ります。 年度末まで約2か月間。この短期間で決定する必要がありました。 「えー大変!」 という印象ですが、実はほとんど大変ではありませんでした。 なぜなら、すでに、以下の2つについて合意に至っていたからです…

構想期~その11~(制度設計すべき項目の解説)

前回明示した、制度設計すべき17項目について具体的説明を加えておきます。 ①利用対象者の条件 まずは、どの様な方を利用対象者とするかを決める必要があります。当社協では、どうせ始めるのなら、できうる限り多くの方を支援すべきと考え、事前に事業プラン…

構想期~その10~(制度設計すべき項目の洗い出し)

年が明けて令和3年を迎えました。 次の作業工程は、年度内の3月末までに詳細制度設計を行い社内合意を得ることでした。 何を決めなければいけないのか。まずは、漏れなくダブルことなく洗い出すことが必要です。もちろん実際に事業を始めて初めて気づくこと…

構想期~その9~(大枠制度設計)

前回の会議が11月初旬。年内に大枠設計を行い首脳陣と合意し、年明けから詳細制度設計に入る作業スケジュールでした。次回会議は12月中旬、それまでに以下を設計し、年内最後の会議で合意に至りました。 【1】事業プランの大枠 (1)料金設定 「あんしん」事…

構想期~その8~((3)事業プラン概要の合意 、(4)早く動かねばならない項目の合意)

続けて、現初期段階で決めておかねばならない残りの2項目をお伝えします。 (3)事業プラン概要の合意 先行団体への視察で分かったことの1つは「サービスは一律ではなく千差万別」ということでした。したがって、各団体のサービスはどれも「帯に短したすき…

構想期~その7~((1)事業理念の合意・決定、(2)合意決定プロセス)

前回、現初期段階で決めておかねばならない4項目を示しました。 優先度の高い順に説明していきます。 (1)事業理念の合意・決定 4つの中で圧倒的に優先すべき項目です。法人後見事業開始の時と同様、これからの制度設計を行うにあたり議論の背骨となります…

構想期~その6~(現段階で決めるべき4つのこと)

先行する数団体への視察を終え、当社協が実施する「あんしん」事業の具体的検討に入りました。 時は年末が近づく11月。この段階で決定しておかねばならないことは以下4点でした。 (1)事業理念の合意・決定 事業を始めるまで、細部にわたる様々なことを設計…

構想期~その5~(先行団体への視察)

前回のブログで、事業開始の決定とスケジュールが決まったことをお伝えしました。 現時点で、文献狩猟を終え、全体像が見えてきました。がしかし、疑問点も数多く涌いていました。 そこで、「百聞は一見に如かず」なので、いくつかの先行団体へ視察に出向く…

構想期~その4~(事業開始の方針とスケジュール決定)

文献狩猟をほぼ終えた7月、全体像がつかめたので上司との会議を持ちました。 大きな議題は以下2点でした。 ①新規事業開始に伴う人員補充 ②事業開始スケジュール ①新規事業開始に伴う人員補充 前述のように、「あんしん」事業の新規事業開始は地域福祉活動計…

構想期~その3~(全体像の把握)

文献を読みまくった意図は2つありました。 (1)事業の全体像を把握する (2)契約書や要綱の様式を入手する (1)事業の全体像を把握する 文献を手あたり次第に狩猟した結果、とても大事なことが1点わかりました。 それは、この事業は「様々な契約の集合体…

構想期~その2~(文献狩猟②)

では具体的に、どの様な文献を狩猟したかを参考までに。 〇見守り・財産管理関連 高齢者の財産管理Q&A―これで安心!老後のくらし https://www.amazon.co.jp/dp/4834803139?tag=calil-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1 Q&A高齢者財産管理の実務 https://www.amazon.…

構想期~その1~(文献狩猟①)

「あんしん」事業について、地域福祉活動計画に載せた目標と計画は以下の通りでしあた。 2021年度末(令和3年度末)まで 事業を開始し試行的に1~2件の支援を行う。 2022年度(令和4年度)から 本格実施開始 開始した法人後見事業が令和元年度に波に乗り始め…

「あんしん」事業を始めるまでに必要なプロセス

「あんしん」事業も法人後見事業と同様に、まずは事業開始までに必要なプロセスを記しておきます。 法人後見開始までのプロセスと要した年数は以下の通りでした。 ⓪問題発見期(1年) 現事業の問題点を把握し、法人後見が必須と認識する時期 ①構想&説得期(…

「あんしん」事業を立ち上げる理由

今回から新たに「あんしん」事業編を開始します! 前回までお伝えしていた「法人後見」事業という新たな武器が増えたことにより、当社協では以下の対応が可能となりました。 (1)日常自立支援事業 主に軽度認知症の方に対し、後見制度利用までを必要としな…

今後の課題と解決策~その3~((2)後見報酬を得られないケース増加への対応策②)

前回、事業収入を如何に獲得するかについて対応策を述べました。 しかし、収入源を事業収入1本に依存することは危険を孕んでいます。 後見報酬は司法の関与、すなわち家裁の権限により大きく影響を受けます。したがって、家裁の意向1つで、将来減額されてし…

今後の課題と解決策~その2~((2)後見報酬を得られないケース増加への対応策①)

前回、受任件数増加への対応策として、職員補充の前にできる事を述べました。 しかし福祉業界は、設備投資や省力化で賄える部分は少なく、どうしても人に依るところが大部分を占めます。したがって、根本的な対応策は、やはり職員増員になります。 「当社協…

今後の課題と解決策~その1~((1)受任件数増加への対応策)

これまで、つらつらと30回ほど述べてきた「法人後見を始める方法」。 とうとう、今テーマが最後となります。 現在、事業開始から2年を経過しました。 他事業との兼ね合い、現人員で対応可能件数などの諸条件から「年間10件の受任」を目標値として取り組んで…

実践期~その8~((5)できる限り、不正が生じない仕組みを作る)

とうとう、「法人後見を始める方法」も終わりに近づいてきました。 制度設計、最後の5つ目の原則は、「できる限り、不正が生じない仕組みを作る」です。 近年、社協の不祥事が続発しています。 そのほとんどが、お金を扱う部署、主に下記②部署の横領事件です…

実践期~その7~(原則(4)できる限り、外部の力を借りる)

制度設計4つ目の原則は、「できる限り、外部の力を借りる」です。 この原則は、社協職員の方には非常に腑に落ちると思います。 なぜなら、市民の相互扶助の仕組みを作ることが、まさに社協のレゾンデートル(存在理由)ですからね。 日常自立支援事業におい…

実践期~その6~(原則(3)できる限り、現場に権限を与え判断スピードを上げる②)

「原則(3)できる限り、現場に権限を与え判断スピードを上げる」の続き。 前述した「①決裁基準」の他にもう1つ、「②法人後見候補者決定プロセス」を以下のように定めました。 具体的には、「法人として候補者となるかどうかを決定するプロセス」です。 こ…

実践期~その5~(原則(3)できる限り、現場に権限を与え判断スピードを上げる①)

制度設計3つ目の原則は、「できる限り、現場に権限を与え判断スピードを上げる」です。 この原則は、「原則(2)できる限り、事務作業を減らす」につながるものでありますが、反面、後に述べる「原則(5)できる限り、不正が生じない仕組みを作る」と相反す…

実践期~その4~(原則(2)できる限り、事務作業を減らす)

制度設計2つ目の原則は、「できる限り、事務作業を減らす」です。 限られた人員で、より多くの方を支援していくためには、事務作業を最大限減らし、支援に最大減の時間を費やす必要があります。 細かい取り組み含め、いくつかの対応を行いましたが、最も大き…