構想&説得期 ~その4~(対社内(部下))

前回は、対社内(上司)に対する納得と合意を得るプロセスを、経験談を踏まえお伝えしました。

今回は、もう1つの対社内ステークホルダー「部下」に対して述べていきます。

 

まず注意してもらいたいことは、部下だからと言って安易に考えたり、軽視することは決してしないでください。

なぜなら、

〇実際に最前線で支援をするのは部下である

法人後見が始まった後、実際に最前線で被後見人等に対峙し支援を行うのは部下になります。その際に、法人後見の意義を心から腑に落ちていなければ、「ただでさえ忙しいのに、なぜこんな大変なことをやらねばならないのか」「別に件数を増やす必要なんてない」と自然に思ってしまいます。

社協の主任クラスには人事権や査定権がない

あるのは自分のチームにおける業務分担権限くらいです。そのため、民間企業のような上司による強制力が働きません。まあ、強制力があったからといって上手くマネジメントできるとは限りませんが。

 

そこで、上司の納得と理解を得るプロセスと並行して、部下に対しても、同じくらいの想いと労力をかけて対応をしました。

 

しかし、対上司と大きく違う点があります。それは、現場職員は福祉職専門家として「人のために、困っている人のために尽くしたい」と思っていることです。これはとても大きな違いです。決して給料も社会的評価も高いとは言えない福祉業界を選んで働く職員への、心から敬意を表すべき点です。

したがって、部下の納得と合意を得るためには、以下2点をクリアすれば良いことになります。

①法人後見を行う意義を理解してもらう。

現状、我々の支援からこぼれている、より困っている人へ支援の手を広げる手段となることをこと心から理解してもらう

②過度な負担にならないことを確約する

「社会的に意義があることを理解するけれど、これ以上大変になりたくない」。当然にほとんどの職員が抱く懸念です。この懸念を払しょくする手法・計画を提示する必要があります。

 

 

前回の対上司と異なり、部下の納得と合意を得るには、余計な小細工は必要ありません。なぜなら、少なくても「人のために尽くしたい」という想いを全員が共有しているからです。

だから、私がとった手法は一つだけ、機会があるごとに直接目を見て議論を繰り返すこと、これだけでした。 

 

①については、構築してきた、法人後見開始意義や事業計画を説明。

②については、現状を継続することが数年後に破綻すること、法人後見を始めることにより、後見報酬を稼ぎ、補助金を得て、職員補充が可能になり、過度な負担増にならないこと。

を、繰り返し説明しました。

 

理解し、納得してくれる職員

ある程度の理解ではあるけれど、主任がやるというならという職員

最後まで反発する職員

 

各々、多様な反応でした。

残念なことに、あからさまには言われませんでしたが、方針に従えないと退職した職員もいました。

しかし、現状維持が、利用者、職員、法人、誰にっとっても不幸になることが明らかである以上、妥協することはしませんでした。

 

上司による強制力をできるだけ控えて、議論を繰り返すプロセスを経た結果、積極的賛成まではいかずとも、部署全員として、法人後見を開始する空気を形成するに至りました。