今後の課題と解決策~その2~((2)後見報酬を得られないケース増加への対応策①)

前回、受任件数増加への対応策として、職員補充の前にできる事を述べました。

しかし福祉業界は、設備投資や省力化で賄える部分は少なく、どうしても人に依るところが大部分を占めます。したがって、根本的な対応策は、やはり職員増員になります。

 

「当社協が、法人後見事業を始めなければならなかった理由」でお伝えした通り、人件費を得る方法は以下の3つしかありません。

1⃣補助金・委託金

2⃣寄付・会費

3⃣事業収入

 

1⃣は、既に事業開始時に常勤1名分を自治体から補助を受けています。今後の増額は、まずあり得ません。

2⃣は、大きな可能性を秘めていますが、如何せん偶然性が高く計画立てることが困難です。

3⃣こそが、後見報酬という定期かつ安定収入であり、人件費として最も適する財源となります。

 

ところが困ったことに、後見報酬を得られないケースの受任が増えつつあります。

社協」=「公的組織」=「儲けを度外視して、低所得者ケースをやるべき」

との認識からと思われます。

このまま手を打たなければ、数年後、職員増員ができないまま、現存職員の許容量を超えてしまいます。

 

できうる対応策は以下2点です。

(1)低所得者だろうと、高所得者だろうと、多くの件数を受任をする

この体制ができれば、低所得者ケースで後見報酬が得られなくても、高所得者からの後見報酬で補填可能となり、全体として人件費が稼げることになります。

ただ、具体的にどうすればこの体制を築くことができるのか?

 

やはり、大口の依頼元は自治体の首長申し立てです。したがって、首長申し立てケースの大部分を社協で受任する仕組みができれば、上記の仕組みが出来上がります。

このためには、自治体で行っている調整会議メンバーに社協職員が入ることが求められます。そこで、

自治体から補助を受けて法人後見を行っている

〇専門家には決して負けない、地域密着の手厚い支援ができる

ことを強く主張し実績を残していけば、体制が築けると考えています。

 

(2)生保受給者を別な方法により支援する

社協は、より支援が必要な方を優先するため、生保受給者は日常自立支援事業の対象外としています。支援が必要な場合は、自治体のケースワーカーが行うよう役割分担をしいています。

しかし、法人後見開始以降、生保受給者の後見依頼が増加しました。しかも、具体的困りごとを見てみると、日常自立支援事業で支援可能なケースが多くありました。

すなわち、「日常自立支援事業が対象外ならば、法人後見で支援してもらおう」という意向があると推測しています。

 

考えられる対応策は以下2点です。

①日常自立支援事業で生保受給者を対象者とする

これにより、法人後見への生保受給者依頼は減少すると思われます。また、日常自立支援事業で生保受給者を支援することにより、県社協からの委託費増につながることになり、当社協の財政負担が軽減されます。

ただし、日常自立支援事業の件数が増えるため、担当職員の負荷が増え不平不満が出てきます。このバランスをどうするかが課題となります。

 

②受任要件の厳密化

現在は、実績作りの時期と考え、受任要件を最大限広げています。この要件を「生保受給者は対象外」や「社協の特性が活かせるケース」など狭めていくことが考えられます。特に低所得者ケースは、専門家が受任すれば、当市では自治体から報酬助成が出るので(社協は対象外)、報酬を得られないことはありません。

 

次回のブログでは、事業収入以外の対応策を述べてみます。

「法人後見を始める方法」編も、とうとう最終回です。