今後の課題と解決策~その3~((2)後見報酬を得られないケース増加への対応策②)

前回、事業収入を如何に獲得するかについて対応策を述べました。

 

しかし、収入源を事業収入1本に依存することは危険を孕んでいます。

後見報酬は司法の関与、すなわち家裁の権限により大きく影響を受けます。したがって、家裁の意向1つで、将来減額されてしまうことも十分考えられます。

収入源は不測の事態を考え、ポートフォリオを組んでおく必要があります。

 

そこで、人件費を得る方法を再度見てみましょう。収入源は、

1⃣補助金・委託金

2⃣寄付・会費

3⃣事業収入

 の3つでしたね。

 

唯一まだ考慮していないものがあります。

そうです。2⃣寄付・会費です。

 

法人後見などの、判断能力が衰えた市民を支援する事業では、身寄りの少ない認知症高齢者の支援が大部分を占めます。すると、自ずと「人の死」に接する機会が増えます。その時、残された財産をどうするかという問題に直面することになります。

 

 

ここで、寄付の一形態である「遺贈」の可能性が出てきます。判断能力がしっかりとしているときに、遺言を残しておき、特定の個人や法人に相続財産を残すという方法です。

 

もちろん無理強いや強制は絶対に行いませんが、ご本人の強い意志があり、当社協に遺贈を希望されている方がいたならば、ご本人同様に支援を必要としている多くの方へ支援を広げるために、積極的に受け入れるべきと思います。

 

「遺贈」寄付は、1人の方がたった1回だけ行う寄付でありますが、高額のご寄付となる場合が多いです。すなわち、いつ得られるか分からないけれど、いただけたら非常に高額の収入となるという特徴を持ちます。

先々は、後見報酬という安定的定期的事業収入に加え、長期的で不定期であるが高額となる遺贈収入も同時並行で準備していこうと思います。

 

ここで大問題があります。

遺贈を行うには、判断能力がしっかりしているうちに遺言を残しておくことが必須です。しかし、当社協が行っている主事業の日常自立支援事業、市民後見事業、法人後見事業は、どれももれなく、判断能力が衰えてしまった方を支援する事業です。すなわち、判断能力が衰えて初めて、我々が関与し始めます。したがって、我々が遺贈をいただくことは、現段階では相当困難です。

 

この問題に対し、すでに手は打ってありました。

以前のブログ「承認期」に次のように書きました。

~以下引用~

結論を先にお伝えすると、法人後見プラスアルファの新規事業開始を計画に盛り込むことができました。私にしてみれば120点満点でした。

ただし、改訂計画は5年間。この中に、法人後見を含む2つの新規事業立ち上げを盛り込みました。がしかし、これらを日々の多くのケース支援を行いながら完遂せねばならなくなりました。内心「こりゃ、大変だな..」と思う反面「ま、何とかなるだろ」と思っていました。

なお、「プラスアルファ」については、のちのち述べていきます。

~引用終了~

 

ここで書いた「プラスアルファ」が「遺贈」の可能性を開く新規事業です。

もちろん「遺贈」獲得が主目的の新規事業じゃないですよ。あくまで、市民の別のニーズに応えるための新規事業です。いわば、「遺贈」は副産物ですね。


「法人後見を始める方法」編は、このブログで終了となります。

書き出した当初は、30回を超えるとは思いませんでしたが、まあ漏れなくお伝え出来たかと思います。

ぜひ、これから法人後見を始めようと思っている方は、このつたないブログを参考にしてみてください。結果、各地で法人後見立ち上がり日本に広がれば、こんなにうれしいことはありません。

 

最後に、通常業務をしながら、法人後見を立ち上げることができたのは、関係者みなさんの協力があればこそでした。

 

同僚のみんなは、私が比較的少ないケースしか担当しなかった分、より多くのケースを担当してくれました。困難ケースも多い中、必死に対応してくれました。本当にどうもありがとう。

 

上司には、意見のぶつかりも多かったですが、それでも自治体交渉などを担っていただきました。私にはできない、上司としての業務を担っていただきました。感謝いたします。

 

自治体職員、専門家の方々、日ごろから、忙しい中で私の意見や主張を聞いていただきました。おそらく影のバックアップをしてくれていたと思います。ありがとうございました。

 

 

では、みなさんの健闘を祈って、さようなら...。

ではなく、次回からは、新たに「プラスアルファ」事業編を始めます!