構想期~その3~(全体像の把握)

文献を読みまくった意図は2つありました。

(1)事業の全体像を把握する

(2)契約書や要綱の様式を入手する

 

(1)事業の全体像を把握する

文献を手あたり次第に狩猟した結果、とても大事なことが1点わかりました。

それは、この事業は「様々な契約の集合体である」ということです。

具体的には、以下7つの(契約)の集合体です。

 

①見守り契約

 利用者が元気な時、定期的に訪問して見守る。変化を把握する。

②財産管理契約

 利用者が元気な時、財産をお預かりしたり、変わりに払い出しなどを行う。

身元保証契約

 入院や施設入所時の緊急連絡先や身元保証人になる。

④任意後見契約

 判断能力が衰えた時、事前に契約した任意後見契約を発動し支援を行う。

尊厳死宣言

 終末期に本人が望む医療や最後を迎えられるよう支援を行う。

⑥死後事務委任契約

 葬儀、埋葬、残置物の取り扱い、残されたペットに関することなどについて、利用者の死後に契約に基づいて行う。

⑦遺言執行

 遺言書を作成しておき、お亡くなりになった後、相続など財産に関することの遺言執行を行う。

 

①~③は、元気な時の支援

④は、判断能力が衰えた際の支援

⑤は、終末期の支援

⑥~⑦は、お亡くなりになった後の支援

というように、7つの契約(一部契約ではないものも含む)により、元気なうちからお亡くなりになった後まで、一気通貫に長期に渡り支援を行うサービス、ということが分かりました。

 

全体像が分かるということは、非常に大事なことで、これまでは雲をつかむような不安感が常にありましたが、事業の骨格が判明することにより、心理的にとても楽になった記憶があります。

 

(2)契約書や要綱の様式を入手する

各書籍に契約書例が記載されていましたので、都度写しをもらい、先の工程で契約書・要綱を作る際の資料を収集しておきました。

 

もう1点、先行団体を調べて、こちらも大きな発見がありました。

それは「サービスは一律ではなく千差万別」ということでした。

確かに、どこの団体も上記①~⑦を行っていましたが、必ずしも全てを行っていませんでした。各団体によってその組み合わせは様々でした。むしろ全てを行っている団体のほうが稀でした。

 

しかし、書面だけでは、その理由や、裏付けとなる事業理念は分かりません。

直接顔を合わせて、より突っ込んでお聞きしたく、いくつかの団体へ視察に伺うことにしました。

そのころは夏から秋の時期で、感染状況も落ち着き緊急事態宣言が解除されていました。すでに第2波、第3波が起こることが確実視されていたため、急いで視察交渉に入ることにしました。