人件費獲得以外の目的 ~その2~

次は、下手したら競合相手となり、敵対する可能性のある専門家後見人に対して。

(4)専門家後見人のために

①本来業務での稼ぎにつながる

社協が法人後見を行うと、やはり半公的機関のため信用度が高いのか、結構依頼がきます。けれど、限られた職員で支援を行うため、できるだけ直接支援に関わらないことは外部委託するようになります。例えば、不動産売却、相続など、これらの業務は、その道のプロである弁護士や司法書士などに依頼することがほとんどです。

そのため、法人後見件数が増えれば増えるほど、専門家に依頼する業務が増えるので、専門家の稼ぎにもつながります。

②つながりや連携が強化される

社協の後見業務が推進していけば、各委員会や中核機関における専門家会議などが設置されていきます。専門家後見人の方々には、当然その委員に就任いただき、専門的見地からアドバイスをもらいます。このことが、また新たな仕事につながるきっかけとなるかもしれません。

 

最後に、最も難敵かもしれない、社内(上司、部下)に対してです。

(5)社内(上司、部下)のために

①法人全体として

〇不採算であるが必要な事業への資金援助が可能となる

〇将来、補助金や委託金人件費が削られた際、雇用継続の資金源となる

自治体に依存しない自主財源のため、自主事業に投入できる

〇実績を出していけば、県内で有数の社協になれる。結果、遺贈寄付の可能性が拡大する

主として、上司、特に全体経営に携わる上層部向けですね。

②部署として

〇数多く直接ケースを経験するため、職員の経験値や能力が向上する

〇人件費を自前で稼いでいけば、自分たち現場職員が、近い将来アップアップとなり苦しまないようになる

主に、部下、現場職員向けですね。

 

これで、自分の中で法人後見事業を行わねばならない理由・動機が確立しました。

次のプロセスは、これらを駆使して、周囲を巻き込み、説得し、同意を得ていくことになります。

 

ところが、現実は簡単には進みません。

このプロセスが一番の難関であり、最も期間を要することになりました。