構想期~その9~(大枠制度設計)

前回の会議が11月初旬。年内に大枠設計を行い首脳陣と合意し、年明けから詳細制度設計に入る作業スケジュールでした。次回会議は12月中旬、それまでに以下を設計し、年内最後の会議で合意に至りました。

 

【1】事業プランの大枠

(1)料金設定

「あんしん」事業基本理念①「できる限り、多くの方に必要な支援を行う」、③「できる限り、利用のハードルを低くする」、⑥「できる限り、事業収支を黒字化させる」から、高すぎず安すぎずの、人件費を除いて赤字を生じないギリギリの料金設定を行うことにしました。

すなわち、事業単体では儲けが生じない料金体系ですね。当然「契約件数が増加したらどうするの?」という疑問が生じます。

この点は、以前に法人後見編の最後にも述べました。それは「遺贈寄付」の可能性です。できる限り利用者を増やせば、その分遺贈寄付をいただける可能性も大きくなります。将来的な遺贈寄付も事業収支に組み込み考えた結果、上記の料金設定制度設計としました。

 

(2)契約方式

前回「このサービスはいくつもの契約の集合体」とお伝えしました。そして「一気通貫で支援する」制度設計としたとお伝えしました。そのため、原則単体契約は行わず、全ての契約を締結することにしました。

 

(3)利用対象者

「あんしん」事業基本理念①「できる限り、多くの方に必要な支援を行う」、③「できる限り、利用のハードルを低くする」より、対象者条件はできるだけ限定せずに最低限とすることとしました。

 

(4)現金のやり取り

原則、現金のやり取りは行わず以下のシステムを取ることにしました。

〇代理支援時などの支払い

事前に一定額の預託金を預かり、そこから支出

〇料金などの徴収

口座からの自動引き落とし

 

(5)職員以外の支援員活用

「あんしん」事業基本理念④「できる限り、支援員による支援を行う」により、最大限市民参加の仕組みを構築することとしました。利用者数が増加することと、手厚い支援を両立させる、社協の特性を生かした仕組みです。当然、万が一に備える保険について、既存加入保険で適用可能であることは確認済みです。

 

なお、この時期、この事業における大きな協力者の1つとなる公証役場に相談に行きました。任意後見契約は当然、公正証書で作成しなければならないし、死後事務委任契約と遺言書も公正証書により作成することを想定していたためです。

 

上記の契約について相談に見える市民は結構な数いらっしゃるとのこと。しかし、お願いできる人がいないことがほとんどで、そのため契約に至らないことが分かりました。

まさに、この事業の必要性の裏付けがなされました。公証人からも「非常に意義がある」旨の言葉をもらいました。

 

 

 

【2】早く動かねばならない項目の決定

(6)パンフレットの作成、(7)管理ソフトのカスタマイズについて、担当者と打ち合わせを行いました。論点は

①可能かどうか

②時期は間に合うか

③金額はいくらかかるのか

でした。

 

(6)パンフレットの作成

これまでも各パンフ作成を依頼した、信頼できるデザイナーに依頼しました。これまで他社での類似事業パンフを作成してきた経験から、すぐに事業内容を理解してくれました。

①可能かどうか

可能。単独事業のパンフとして作成。12ページ版。

②時期は間に合うか

十分間に合う。新年度から作業開始。

③金額はいくらかかるのか

約75万円

 

(7)管理ソフトのカスタマイズ

複数の契約会社が使用しているクラウド型管理ソフトのため、比較的利用料が安価である反面、個別事情によるカスタマイズがしにくいという問題がありました。

①可能かどうか

何とか可能。大きなカスタマイズではなく既存機能をできる限り使い、最小限カスタマイズで対応。

②時期は間に合うか

新年度からの開始で間に合う。ただし実際事業を開始しないと必要な機能は分からないもの。「小さく産んで大きく育てる」の思考で、現時点では最小仕様のみとする。

③金額はいくらかかるのか

約80万円

 

(6)は想定金額通り、(7)は想定より安価の見積もり、のため前回会議における執行許可は覆りませんでした。

 

これで事業の大枠設定は無事終了し、作業スケジュールどおり、年明けから詳細制度設計に入ることになりました。